栗林忠道の生き様 散るぞ悲しきの書評・感想など
2019/06/05
みなさん、こんにちわ。
世界を旅するノマドブロガー、かつお(@katsuyamamoto)です。
突然ですが、多くの日本人は8月15日にカタルシスを感じるはずですよね。。
しかし、カタルシスというか、日本の命運を大きく決めたのはわたしは12月8日ではないかと思うんです。
そう、それは日本が真珠湾奇襲を決行した日です。
山本五十六をはじめ、先見の明があった将校(多くは海軍)はこの戦争に反対だったが、鬼畜米英何するものぞ!とした多くの保守的な将校は、長州出身が多かった、陸軍の出身だったと言われてます。
この本に出会うまで、海軍=開明的で陸軍=保守的でどうしようもない、という思い込みでした、わたくし。
硫黄島総指揮官・栗林忠道について書かれた、散るぞ悲しきを読むまでは。
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散るぞ悲しきという本の魅力
この本、大宅壮一ノンフィクション賞受賞している名作です。
こういった戦争ものの本って、読んだ後何ともいえないカタルシスに襲われてドヨーンとなるのが常なのですが、この本にはそういったことがあまりない。
それはなぜか?
それは、この本が軍人・栗林忠道というよりは人間・栗林忠道にスポットを与えてるからなんですね。
で、著者がよくある歴史評論家やルサンチマンまみれの軍事ミリタリー専門家ではなく、女性視点で書かれてる点が秀逸でした。
例えば、以下の様な描写。
私が驚き、興味をひかれたのは、二の内容を読んだ時だった。
二万余の兵を束ねる最高指揮官が”遺書”の中で、お勝手の隙間風を気にしているのである。
このとき栗林は52歳。
出征直前には天皇に拝謁して直接激励されるという名誉に浴している。
その彼が最後の心残りとして記したのが、留守宅の台所のことだったのである。
普通、男性視点なら、このような軟弱な描写(?)は軽く流し、ともかく戦況に注視しがちなのですが、著者の梯久美子さんは家族との手紙のやり取りなどにフィーチャーし、普通の家族思いのお父さんである栗林忠道をあぶりだしているような感じがします。
また、梯久美子さんは自分の足で栗林忠道さんのご子息や親戚の方や関係者各位に直接会いに行って、そのときの逸話や思い出話をきちんと取材されているんですよね。
なんか司馬遼太郎さんの小説のようで、それが戦争という非日常の出来事が、日常の連続体として起こりうるというリアリティを感じさせます。
そもそも梯久美子さんが栗林忠道について書こうと思ったきっかけが、栗林忠道が硫黄島から送り続けた41通の手紙を見たことだと述べられています。
この手紙の内容も、たくさん本の中で引用されているのですが、なんかもう普通のお父ちゃん(笑)
当時9歳だった娘のたこちゃんに宛てた手紙なんか読んでると、決して軍人さんが戦争をしたがっている人間ではなく、普通の市井の人間であることがわかるんですよね。
そして、タイトルの散るぞ悲しきは、大本営により士気を下げるとして散るぞ口惜しに改ざんされていたという事実。
これも梯久美子さんが取材で明らかにし、そこから敗戦濃厚の硫黄島がいかなるものであったか?
総指揮官栗林忠道とはいかなる人物であったか?ということが紐解かれていきます。
そんな貴重な硫黄島の戦時のリアルな動画はこちらです
ちなみに栗林忠道ですが、米国では最も苦戦した硫黄島の総指揮官ということで有名でして、あのクリント・イーストウッド監督の硫黄島からの手紙でもオマージュされております。
散るぞ悲しきをおすすめしたい方
というわけで、この本は超おすすめなのですが、特に以下の様な方にオススメです。
・戦争のことはよくわからないけど、命を賭けてまで戦った男の心境が知りたい
・こちらの無知ぶりをすぐにdisってくる、自称歴男に一泡吹かせてやりたい女子
・カタルシスを感じずに戦争のことを知り静かな感動をしたい
・組織を任されているがどうやったら部下が最後までついてきてくれるかのモデルケースを知りたい
そんな方は、是非どーぞ!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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